“エクソソーム製剤の真実: 効果、安全性、そして未来への展望”

MSCエクソソーム

本日は、巷で話題になっているエクソソーム点滴治療についてお話ししたいと思います。

初めにお伝えしておきます。 

私は、エクソソーム/細胞外小胞を用いた治療法は、非常に可能性を秘めており、薬物治療、細胞治療に並んで、将来の新たな治療法の選択肢になりうるものと感じています。だからこそ、丁寧に基礎研究、臨床研究を行い、安全に皆様のもとに届けたいと思っています。 

しかし、昨今、エクソソーム治療が、SNSを中心に話題となっており、誤った情報も散見されているため、治療を受ける側の皆様に、不利益が被る可能性が少なくなるようにと思い、この記事を作成しました。 

主に3つに分けて、エクソソーム治療に関して、知っておくべきことを述べたいと思います。 

1つ目は、エクソソーム製剤って、本当にエクソソーム製剤なのか?

2つ目は、エクソソーム治療は、本当に有効なのか?

3つ目は、エクソソーム治療の知っておくべき副作用は?

この3点に絞って、本日はまとめていこうかと思います。 

それでは、始めましよう。 

解説動画

エクソソーム製剤って、本当にエクソソーム製剤なの?

知らない方が多いかもしれませんが、巷で言われているエクソソーム製剤は、本物の純粋なエクソソームではありません。幹細胞を培養したあとに得られた培養液から、30-150ナノメーターほどの、脂質二重層で囲まれた粒子を集めたもの、濃縮したものをエクソソームと呼んでいるものが多いようです。しかし、これには、エクソソームが含まれているかもしれませんが、大部分はエクソソームではないかもしれません。培養液内には、様々な粒子が存在しているため、エクソソームだけを抽出するのは、技術的にとても難しいからです。基礎研究で、エクソソームを扱う際にも、本当にこのナノ粒子がエクソソームなのか問題となります。

よって、エクソソームの国際研究学会であるISEV(国際細胞外小胞学会)では、一般的に社会でエクソソームと呼ばれていた粒子のことを、細胞外小胞(Extracellular vesicle, EV) と呼ぶことにガイドラインで決めました。さらに、エクソソームは、細胞質内に存在するエンドソームの一部として存在する多小胞体が細胞膜と融合することによって放出される小胞のことを指すことに決まりました。よって、現在クリニックで使われているエクソソーム製剤は、世界的基準では、細胞外小胞製剤であり、厳密にはエクソソーム製剤とは言えません。この点が、現在のエクソソーム点滴治療の難しさの原因の一つでもあります。

なぜなら、エクソソームの定義が曖昧であることから、確立した品質基準がないように感じるからです。製剤によって、どれだけエクソソームが含まれているか不明です。公表している製剤はどれだけあるのでしょうか。厳密なエクソソームには、目印マカーのようなものがあります(CD63, CD9, CD81など)。このマーカーを発現している粒子がどれだけあるのか、など品質を担保するような評価が、臨床では必ず必要になります。この点に関しては、基礎研究の世界でも確立された基準が定まっていないため、非常に難しい問題となります。製剤によって、細胞上清培養液を濃縮することなく、培養液を単純に点滴しているだけ、という情報も耳にします。培養上清には、細胞の死骸、化学薬品、他の動物の血清など混入している可能性もあります。使用されている製剤がどのようにして製造されているのか、少しでも気にしてもいいのではないでしょうか。

エクソソーム治療は、本当に有効なのか?

次に私が懸念している点が、エクソソーム(EV)点滴治療の有効性を示したエビデンスが欠落している点です。これは非常に難しい問題であることは、認識しています。疲労回復、抗加齢効果などを臨床研究で科学的に証明しようとすると、時間もかかるし、様々な交絡因子が発生するため、検証を難しくします。また、抗加齢や疲労回復のために、公的医療保険がカバーする可能性も低いように思います。よって、美肌、抗加齢効果、疲労回復などを目的として、本治療を行うのであれば、自己責任のもと自由診療で行うのが現実的かと思います。個人的には、このような効果は、骨髄観葉家幹細胞のEV,エクソソームから期待できることは、基礎研究の経験から推察できます。よって、品質管理された同一のエクソソームを動物モデルに投与して、どれだけの投与量で、抗加齢効果などを確認できるかを検証し、その投与量を臨床で応用していれば、その信頼性は少しは担保できるかもしれません。これから、投与しようとしているエクソソーム製剤で、動物実験を行い、その結果が医学論文で発表され、科学者の目を通して、その結果が吟味されているのか、その点は確認しておいても良いかと思います。 

臨床レベルでは、エクソソーム製剤の有効性を科学的に証明したものは皆無です。効かないというわけではなく、効くのかまだわからない状態です。個人一人一人の感想では、バイアスがかかっており、いろんなインフルエンサーが発信していても、注意が必要であることを肝に銘じておいてください。 本当に効いているかもしれない、もしくは効いてないかもしれない、 本当のことは、まだわからないのです。よって、私を含め世界中の研究者が、日々研究を行っているのです。 

エクソソーム治療の知っておくべき副作用は?

最後に気をつける点が、副作用の問題です。間葉系幹細胞(骨髄幹細胞、臍帯血幹細胞、脂肪幹細胞など)から抽出されたエクソソームの作用機序として、もっと報告が多いものの一つが、抗免疫作用になります。抗免疫作用は両刃の剣であることを認識する必要があります。加齢の原因として、慢性炎症が原因として考えられているので、エクソソームを定期的に投与するこで、進行性の加齢現象を抑えることは可能かもしれません。また、心筋梗塞、脳卒中、脊髄損傷など、生命に関わる疾患でもあっても、病変部位では、激しい炎症がおこり、この炎症により二次損傷がおこり、更に病状が悪化すると言われています。そこで、エクソソームを投与することで、炎症反応を調整し、二次損傷を抑制、組織再生を促進すると考えられています。

しかし、免疫とは非常に重要な仕事もしています。病原菌の侵入を防いでいたり、日々発生しているがん細胞をやつけてくれていることで、組織のホメオスタシスを維持し、健康に生活ができるいるのです。ここで、エクソソームを投与するとどうなるでしょう?発がんのリスクが増加する可能性、新たな感染症に罹患する可能性、再発する可能性など、様々な可能性が考えられわけです。もちろん、点滴静注をしたところで、何も問題を起こさないかもしれません。まだ、分からないのが現状なのです。数人の投与結果をもって、安全ですとは決して言えないわけです。健康寿命の延長、抗加齢効果を目指して、高いお金を払って治療した結果、がんが急に進行して、最終的に。。。。このような結果も受け入れたうえで、治療を行う覚悟があることを認識する必要があるかと思います。

色々と嫌な話をしてしまましたが、私はエクソソーム点滴治療の未来は明るいと思っています。抗加齢効果、健康寿命延長は、私が目指すものでありますから、このような治療が提供できるようになりたいと思っていまます。しかし、安全性をしっかりと担保する必要があります。そのためにも、研究データを積み重ねて、議論できる環境ができれば一番良いかと思います。さらに、たとえ自由診療であっても、みんなでデータを集めて、市販後調査を行うことで、なにかしらの知見が得られるかもしれません。このような方向に進むことを期待しています。私個人としては、このエクソソームを脳卒中、脊髄損傷など、難病の克服に活かして行きたいと思っています。大変厳しい道でありますが、臨床研究や治験を通して、有効性と安全性を確認し、薬事承認を経て、困っている患者さんに健康保険のともで、届けられるようにやっていきます。エクソソームには、この厳しい道に耐えられるだけの、ポテンシャルがあると考えています。 

以上になります。 

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